70代はまだ若い?
- 西村 正
- 2021年2月3日
- 読了時間: 2分
私は68歳になった。友人や知人、親戚には年上の人が少なくないが、最近とみに感じるのは「年賀状はもうやめます」という申し出が目立ってきたことだ。頻繁に会う機会でもない限り、年賀状は言わば年に一回のホットラインでもあると考えていただけに、そういう申し出をいただくたびに正直なところ複雑な思いを禁じ得ない。考えてみれば叔父・西村俊郎も小まめに年賀状を書く人ではなかったが親戚にだけは毎年出していたようである。ところがフランス行きを決意した年に「小生は欧州に行くことになったので年賀状は今年でやめます」という賀状を出したところ、それを読んで当惑した親戚から何件も問い合わせを受けたことが思い出される。おそらく当時は、そんなことを言いだすのは非常識だと受け取られたのだろう。
65歳を超えてからの決意でもあり、叔父はある意味悲壮な決意をもってフランスに向かったのではないだろうか。しかし80歳になるまで日本とフランスを往復する生活を続け、その間の半分以上の月日をかの地で過ごすことができたのだから、その「悲壮感」は希望と自信に変わっていったに違いない。おそらく叔父の70代は生涯で最も充実した喜びに満ちた年代だったのではないだろうか。
そう思えば、私が目前にしている70代は「まだまだやれる」希望の年代だという気がしてくる。「90まで生きる」というのが叔父の口癖だったが、本当にその言葉どおりに生きたのだから、運もあるにせよ、気力を失わないことの大切さを想わずにはいられない。そう考えると、「もうこんな歳になってしまったのか!」と愕然としていた自分が、叔父に笑われ励まされたような気がしてくる。 (2021.2.3)
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