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中村研一記念小金井市立はけの森美術館を訪ねる

  • 執筆者の写真: 西村 正
    西村 正
  • 2018年8月26日
  • 読了時間: 2分

更新日:2019年2月10日

 中村研一氏についてはインターネット上でもウィキペディア等で経歴を知ることができるからここでは繰り返さないが、叔父より14歳年上で、特に光風会で叔父の先生であったことは確かである。勿論、中村先生の教えを受けた画家はたくさんいるだろうから、叔父はそのうちの一人に過ぎない。

 私は中村研一という名前は知っていたが、その作品を詳しく見たことはこれまでなかった。氏は戦後、亡くなるまでの40数年間を小金井で暮らし、そこで制作活動を続けたという。1967年に72歳で亡くなった後は夫人が作品を守り、1989年には自宅の敷地に「中村研一記念美術館」を開館。さらに2006年には作品と建物が小金井市に寄贈されて「中村研一記念小金井市立はけの森美術館」として開館したのである。

 私が行った日は『絵画で国立公園めぐり---巨匠が描いた日本の自然---』(小杉放菴記念日光美術館所蔵作品の巡回展)が開かれており、私はここで中村研一氏のみならず、叔父のエッセイに登場する和田英作や寺内萬治郎の作品とも初めて対面した。この日私が見たのは叔父よりはるかに年上の画家たちの作品群であり、皆巨匠と呼ぶに相応しい人たちであると感じられた。

 しかし、もっと驚いたのは、この美術館の建物をはじめ、旧宅を使った「カフェ」や庭の佇まいである。趣味の良さというか、文化的な優雅さが感じられるものであった。このような形で個人美術館を、しかも地方自治体の運営で残せることは画家として一つの理想であると言えるだろう。以前に引用させてもらった中村研一氏の文章に強調されていた「めいめいがこの社会にもっている画家の経済上の事情」は、やはり極めて大事なものなのである。私はこの美術館も「旧宅カフェ」も大変気に入ったので、また訪ねてみるつもりでいる。  (2018.8.26)

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