西村俊郎と学校教育
- 西村 正

- 2018年11月14日
- 読了時間: 2分
本人から聞いた話だが、西村俊郎は旧制中学時代に数学がよくできたということで、教師の強い薦めで(本人は「蔵前工業」と言っていた)今の東京工業大学の前身に当たる学校を受験したのだという。ところが結果は不合格で、それ以来すっかり学校不信になってしまったらしい。本人はその頃はもう絵を描くことに興味を持っていたようだから、なぜ教師に対して自分の意志をはっきりと主張して、藝大の前身に当たる東京美術学校などを受験しなかったのかと、私はその話を聞いたときに思ったものだが、理系受験に失敗した本人が選んだ進路は、「プロフィール」で紹介した通り、本郷絵画研究所になったのである。そこに至る詳しい事情は分からない。ただ、言えるのは、本人が書いたエッセイからも読み取れるが、西村俊郎は「学校(特に大学)」というものに対して強い不信感を持ち続けることになったということであって、美大の教育についても批判がましいことを書いている。
私は自分が36年間学校教師をやってきたので、正直なところ、叔父の学校に対する考え方には複雑な思いを禁じ得ない。進路指導の基本は、やはり生徒の希望や家庭事情をよく聞くことであるとつくづく思ったが、まあ私の感想はどうでもいいことだ。この話は書こうかどうか、かなり迷ったのだが、西村俊郎という画家を理解する上で多少は役立つかもしれないと思って書いた次第である。 (2018.11.14)
コメント