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西村俊郎の日展/光風会展への出品記録を調べました

  • 執筆者の写真: 西村 正
    西村 正
  • 2019年6月13日
  • 読了時間: 3分

更新日:2019年6月29日

 前回『アート・カフェ』に書いた「私の愛する一点展@梅野記念絵画館(長野県東御市)」の続きですが、今回は写真がないので『モノローグ』のほうに書くことにします。


 あの作品(「榮子像」F50号)について、この間、私は初めて日展と光風会展の記録を調べました。結論として断定できるまでには至りませんでしたが、ほぼ次のような調査結果を得ることができました。それは:


    1950(昭和25)年 第6回日展出品作品:「椅子による女」

  1950(昭和25)年 第36回光風会展出品作品:「椅子に寄る」


という記録を確認できたことです。(作品の号数については両展とも記録がありませんでした。)タイトルは微妙に違っていますが、これは同じ作品を出品したものと考えられます。もしこの作品が「榮子像」(このタイトルは1996年に画集を作るとき、私が画家本人の許可のもとに付けたものです。)と同じものであるとすれば、当初のタイトルは「椅子による(寄る)[女]」であった可能性がありますが、残念ながら両展覧会の図録に作品の写真が載っていないため最終的に断定することができませんでした。しかし、同じ年の日展と光風会展に同じ作品を出品した(と思われる)記録はこの作品しかないため、今回「榮子像」として梅野記念絵画館の「私の愛する一点展」に出品することになった作品はこの「椅子による(寄る)[女]」と見て間違いないのではないかと思われます。

 しかし、気になるのはこの「椅子による」という言葉の意味です。調べてみると「椅子による~」というタイトルは安井曾太郎をはじめ、複数の画家の作品に付けられていることが判りました。それぞれの作品を見てみると、「よる」の表わすところは、「椅子の後ろに立って手を椅子の背もたれに添えている」ものや「椅子に座っている」「ソファーに深々と座っている」ものなど様々で、「榮子像」のポーズが「椅子による」という表現に当てはまるのか迷うところがありました。

 念のため漢和辞典を引いてみると「倚る」または「凭る」は「よりかかる」「もたれかかる」「体をあずける」と説明されており、「寄る」にも同様の意味があると説明されています。だとすれば画家本人がつけたと思われる「椅子による(寄る)[女]」というタイトルは、現在「榮子像」と名付けられているこの作品の当初のタイトルだったと考えることは妥当ではないかと思われたのです。

 なお、両展覧会への出品は1950(昭和25)年ですから、私が書いた「1955年頃」より5年ほど早かったことになります。西村俊郎は日展には1946(昭和21)年から1959(昭和34)年まで14年間に渡って11回、光風会展には1947(昭和22)年から1977(昭和52)年まで31年に渡って40作品出品していたことが判りました。この作品が人物画の最後というわけではありませんでしたが、1960年代に入ってからの光風会展には人物画の出品は全くなく、確認できたのは風景画のみでした。

 以上が、この間私が調べてきたことです。 (2019.6.13

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