銀座「古径」閉店に思う
- 西村 正

- 2018年10月8日
- 読了時間: 2分
更新日:2021年1月31日
銀座「古径」が本年7月31日をもって閉店したことを知ったのは10月に入ってからだった。「古径」は日本画家・小林古径の名に因む額縁店で、その額縁はデザインも材質も極めて上質なことで知られてきた。西村俊郎の場合は、1996年と翌1997年の個展において、当時の画商・N氏の薦めで出品作品のほとんどに古径の額縁を使った。一口に額縁と言っても、安いものと古径の製品とでは値段が、大雑把に言っても10倍くらい違う。絵は額縁によって大きく印象が変わるものなので、額縁選びには非常に神経を使う。古径の額縁も色やデザインは様々だが、下の写真の額縁は当時から印象的で、実は私が気に入っているだけなのだが、我が家で壁に絵を掛けるときに選ぶ第一候補であった。


昨年の11月、私は「古径」銀座店を訪ねたことがある。店というよりはオフィスという感じの場所であった。他の来客がなかったので、私は店のかたから額縁づくりについての永年のこだわりについて話を聞かせてもらうことができた。その話の中で、「最近はうちの額縁に合うような絵を描くかたが少なくなってしまって…」という言葉を聞いたことが忘れられない。私は叔父の作品を求めてくださるかたには、できれば古径の額縁をお薦めしたいと常々思ってきただけに、古径の閉店には寂しさを禁じ得ない。なお、古径の額縁は今後、「ギャラリーアートリンク(ArtLink)」が取り扱うということだ。 (2018.10.8)
※この記事をご覧になったかたは、ぜひ 2020.2.3 付の記事(「古径」の額縁が手に入ります)もご覧ください。
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