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5年ぶりの小樽

  • 執筆者の写真: 西村 正
    西村 正
  • 2023年11月15日
  • 読了時間: 3分

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     早朝の小樽駅前           墓地の紅葉(天狗山展望台が見える)


 10月末から11月にかけて、独りで5年ぶりに小樽を訪ねた。目的の第一は勿論、コロナ禍でこの5年間行かれなかった墓参りのためだが、高齢になった親戚に会うためでもある。この時期の北海道は紅葉の真っ盛り。新千歳空港から札幌経由で小樽に向かう列車の車窓からも、いかにも北海道らしい風景の中で色鮮やかな紅葉を楽しむことができた。もう一つの目的は、北海道新幹線の札幌延伸工事の進捗状況と地元の人々の反応を知りたいということであった。と言うのも、私がちょうど50年前に見聞きした「北海道新幹線」に対する期待と熱気が、当時は話題にすらならなかった「平行在来線問題」がクローズアップされている今どうなっているのか知りたかったのである。(仮称)新小樽駅建設予定地には親戚に案内してもらって行ってみた。小樽市の中心部から山側に4キロほど離れた場所に予定されている新駅が小樽の新しい玄関口になるかどうかは、市中心部までの交通の便の確保にかかっていると思われた。以前のブログ記事にも書いたことだが、私が横浜から小樽に来るには、航空機利用、青函トンネル経由の鉄道利用、自家用車で新潟~小樽間のフェリー利用の三つのルートがあるものの、北海道新幹線の札幌延伸後に私は果たして(仮称)新小樽駅に降り立とうという気になるのか、自分の眼で確かめたかったのである。



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  市立小樽美術館・文学館全景     中村善策「小樽港」(同館所蔵品図録を接写)


 実は私にはもう一つ寄りたいところがあった。それは小樽駅にほど近い市立小樽美術館である。ここには同じ建物に市立小樽文学館が併設されている。私は文学館には行ったことがあったのだが、美術館は初めてであった。閉館時刻が迫っていたので駆け足での鑑賞ではあったが、私は初めて中村善策の作品をじっくりと観ることができた。中村善策(1901—1983)は小樽生まれの洋画家で西村俊郎より8歳年上。同館は中村作品を多数所蔵しており、「中村善策記念ホール」があることで知られている。私の手元にある図録にはカラー図版は「小樽港」しかなかったので、その写真を掲載したが、他の作品も思ったよりずっと明るい色調で、親しみが感じられるものであった。同館には他に版画家・一原有徳(1910—2010)のコーナー「一原有徳記念ホール」がある。残念だったのは文学館が改装工事のために閉館されていたことだ。小樽と聞けば私もやはり真っ先に小林多喜二と伊藤整の名が浮かぶ。この二人は同時期に当時の小樽高商(現・小樽商科大学)に在籍していたことがある。私は特に伊藤整の『若い詩人の肖像』を好んでいるが、その理由は、この作品の中には私の父母、そして叔父・西村俊郎の青春時代の小樽の雰囲気を知る手掛かりがあるように思えるからである。小樽の歴史と文化に出会える場所としての市立小樽美術館・文学館こそ、私は小樽を愛する人たちにぜひお薦めしたいと思う。 (2023.11.15

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