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JRA競馬博物館所蔵の西村俊郎作品の制作年について

執筆者の写真: 西村 正
西村 正
2023年9月1日
読了時間: 3分

 西村俊郎作品について一番困るのは、作品に制作年が書き込まれていないことであろう。この夏、私はJRA競馬博物館の学芸員のかたから同館所蔵の西村俊郎作品の制作年について問い合わせを受けた。専門家からの問い合わせは意外なことであったが、考えてみれば作品に明記されていない以上、画家の遺族に問い合わせるというのは丁寧で良心的な手法であろう。結局は「推定」するしかないのだが、メールによるやり取りの中で私が気づいたことや、(あくまでも)私の「推定制作年」について書いておきたい。 【西村俊郎(同館の自作の前で、85歳)】


 西村俊郎が競走馬の肖像画を描いていたのは1940年代から1970年代前半までの約35年間に渡っている。その間に描いた優勝馬の肖像画はかなりの数に上るものと思われるが、そのうち5作品が「顕彰馬」としてJRA競馬博物館に展示されている。今回判ったことは、その5点で使われている画家のサインには次の3種類があるということだ。TとNを組み合わせたモノグラム式のサインは他の作品にはほとんど見られない。TOSHIRO N.は日本の風景画に散見される程度。TOSHIROは画家にとって一番一般的なサインである。そこで、そのことを手掛かりに作品の制作年を推定できないかというお尋ねであったのだが、時代的な裏付けにはなっても決め手とすることはできないと思われた。そこで、それぞれの顕彰馬が活躍した記録を頼りにして私なりに推定してみた。しかし要は「肖像画の制作依頼がいつあったのか?」ということだから、これはあくまでも推測に過ぎないのだが、参考にしていただければ幸いである。


サイン1(モノグラム)           サイン2


サイン3




※以下の馬の写真は全て「競馬の殿堂 中央競馬メモリアルホール」パンフレットを接写させていただきました。(画面の端が切れている場合があります)










ハイセイコー


●推定制作年: 1973年頃

〇作品の号数: F12号

〇画家のサイン: TOSHIRO

〇サインの位置: 画面右下







ハクチカラ


●推定制作年: 1956年頃

〇作品の号数: F12号

〇画家のサイン: TNのモノグラム

〇サインの位置: 画面右下







トキノミノル


●推定制作年: 1951年頃

〇作品の号数: F15号

〇画家のサイン: TOSHIRO N.

〇サインの位置: 画面左下








トサミドリ


●推定制作年: 1949年頃

〇作品の号数: F20号

〇画家のサイン: TNのモノグラム

〇サインの位置: 画面右下







セントライト


●推定制作年: 1941年頃

〇作品の号数: F20号

〇画家のサイン: TNのモノグラム

〇サインの位置: 画面右下





 西村俊郎は馬券を買ったことはなかったはずだけど、馬との出会いはどこにあったのだろう? 仕事としては、おそらく世田谷の馬事公苑だったのではないかと思うが、「競馬の殿堂」のパンフレットの中にある「画家・彫塑家のご紹介」ページには西村俊郎の欄に「幼い頃、(小樽の)街なかには荷馬車がよく走っており、4~5歳ごろから馬のスケッチを描いていた・・・」という記述がある。北海道・日高で馬の牧場をやっている親戚を訪ねたこともあったようだ。  (2023.9.1)

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