「廣本季與丸画集」との出会い
- 西村 正
- 2019年11月3日
- 読了時間: 2分

10月下旬、私は叔父の作品の搬出のために長野県東御市の梅野記念絵画館に向かった。今年の5月以来、四度目の訪問である。「私の愛する一点展」の終了からすでに一か月が過ぎており、作品は同館の倉庫に預かってもらっていたのだ。車への積み込みが終わってから書籍コーナーを何気なく眺めていると、私はそこに「廣本季與丸画集」が並んでいるのに気づいた。前回の『アート・カフェ』の記事でも触れたが、今年の「私の愛する一点展」には廣本氏の作品も出品されており、廣本氏は私の叔父・西村俊郎の画家仲間の一人でもあったので、私は迷うことなくその画集を購入した。この画集は2007年に廣本氏のご令嬢・田名夢子さんが発行したもので、廣本季與丸作品の紹介写真や年譜とともに田名夢子さんによるお父上の紹介や思い出が詳しく書かれていたので、これまで私の中でおぼろげだった廣本季與丸像は、この画集によって一気に具体的なものになったのである。
表紙に採用された作品は「リボンを結ぶ」と題するF100号の大作で、1954(昭和29)年に日展に出品されたものである。モデルは妻・ミサヲさんと長女・夢子さん(当時小学校1年生)。夢子さんが初めてお父上の絵のモデルをした作品だという。この絵に限らず、廣本氏の描く人物画、特に家族をモデルとした作品は実に、モデルに対する愛情に溢れているように思うのは恐らく私ばかりではないだろう。また、静物画、特に花の絵には何とも云われぬ安らぎと温かさが感じられるのである。この画集を多くの方々にお薦めしたいと思う。(2019.11.3)
※廣本季與丸(ヒロモト・キヨマル)(1908--1975):愛知県生まれ。関西美術院で学び、太平洋美術学校卒。1934年帝展初入選。1965年日展無鑑査となる。1973年渡仏。1975年67歳で没。没後も展覧会への出品や個展が開かれている。
※「廣本季與丸画集」についてのお問い合わせは、梅野記念絵画館へ。
電話:0268-61-6161 FAX:0268-61-6162
Comments