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『引き潮』と題する作品の写生地について

  • 執筆者の写真: 西村 正
    西村 正
  • 2020年9月14日
  • 読了時間: 2分

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  西村俊郎「引き潮」(F10号)


 最近、家の中のものを大々的に整理整頓する機会があり、やっと叔父の作品や資料についても見たいものが取り出しやすくなった。今回は、その中での一つの「発見」の報告です。

 『引き潮』と題するこの絵にはF15号とF10号の二つがあり、F15号のほうは「代表作20選」の一つとして紹介してきた。実は、当初は『引き潮(ニース)』という題が付けられていたのだが、いろいろ調べても場所の特定ができなかったため、このウェブギャラリーでは題名を単に『引き潮』とし、解説で「南仏の風景」と書いたのだった。しかし今回、なんと画家本人の字で「引き潮(ロリアン)」と書かれたカードが見つかったのである。ロリアンは南仏ではなくブルターニュ地方の港町である。この海も地中海ではなく大西洋だということになる。インターネットで調べてみると、全く同じ場所を見つけることはできなかったものの、これに近い雰囲気の場所の写真を見ることができた。パリを拠点にしてフランス国内やヨーロッパ各国を写生旅行していた叔父にとっては、ブルターニュは南仏よりははるかに行きやすかったことだろう。なぜ『引き潮(ニース)』となったのかは不明だが、1996年の大丸展ではそのタイトルになっていたし、翌1997年の相鉄ギャラリー展でもそれを継承し、さらにはポスターにまでなってそのタイトルが添えられていたのだから、もう済んだこととは言え、非常に申し訳なく思う。

 私自身はブルターニュ地方に行ったことがないのだが、調べてみるとブルターニュは蕎麦粉を使ったクレープと牡蛎で有名な所だという。そう言えばもう30年以上も前に冬のパリで白ワインを飲みながら生牡蛎を食べたことがあったが、あの牡蛎はブルターニュ産だったのかもしれない。そんなことを思い出しながら、今回謹んで「代表作20選」の『引き潮』のタイトルを『引き潮(ロリアン)』と改めさせていただいたことを報告いたします。 (2020.9.14

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